激闘・午前5時
翌朝、5時前に目を覚ましました。Etihad Chauffeurが来るのが6時55分なので、身支度を整えようとバスルームで鏡に向かうとゴソゴソとうごめく何やら黒い物体。ああ、こんなところで出会ってしまうのか…あの長い触覚の生えた、すばしっこくて嫌悪感をMAXまで高めてくるアイツ。
そうです、Gです(しかも日本のヤツよりデカい)
これには参りました。あんまりこう言ってはなんですが、まさかシェラトンで出るとは思いもよらず、当惑。部屋の中に武器になりそうなものが無いか探してみましたが、どうも見当たりません。仕方なく、防虫スプレーでもと思ってゲストサービスに電話してみました。
「もしもし、フロントです。いかがなさいましたか?」
「547号室の◯◯です。何かゴキブリと戦う道具を貸してくれませんか?(本当にこう言った)」
「ゴキブリと戦う道具、ですか。かしこまりました。」
「急いでもらえると助かります」
電話をしている間にGを見失ってしまいました。どこに言ったか捜索しているうち、インターホンが鳴り、顔の彫りが深いホテルスタッフのお兄さんが到着したので引き続き一緒に捜索します。「あれー、どこ行ったんだろう…」などと僕が困っている間に、持っている白いナフキンでトイレまわりの造作物を叩いたり、布団をめくってみたりと、Gの燻り出しに黙々と勤しむスタッフ兄ちゃんもとい軍曹(笑)。
「(排水口を指差しながら)どうやらここに逃げ込んだのかも知れないな」
「どうしようか…(軍曹の後ろにいるGを見つけて)あ、いた!」
次の瞬間、軍曹の持っていたナフキンが鉄槌となってGの頭上に振り下ろされたのでした。南無。その後、後始末を終えた軍曹は爽やかな笑顔で去っていきました。「ゴキブリと戦う道具」って言ったら戦士が来るとは、流石です(?)。冗談はさておきとして、身支度、荷造りを終えてロビーに降りると白髪で高級感のあるスーツを着たおっちゃんが僕の前に立ち塞がりました。今度は何でしょうか?
「当ホテルのサービスマネージャーです。お客様の部屋にゴキブリが出たとのことで、深くお詫びします」
「いえいえ、スタッフさんがやっつけてくれたので特に被害もなかったですし」
「それは良かった。いつも我々は衛生面でのコントロールに細心の注意を払っているので、また何かあればすぐ呼んで下さい」
「はい、ありがとうございます(今日発つんだけどね笑)」
思いの外時間を食ってしまったので、朝食ビュッフェを適当に流し込んでからEtihad Chauffeurに飛び乗ります。アブダビ国際空港第3ターミナルへ向けて延々と片道5車線(!)の直線道路が続く高速道路を120km/hで快走するAudi A6。こんな道路なら高級車の性能を余すことなく発揮できそうですね。
EY622:AUH~SEZ
7時半ごろ、前回の記事でもお話したビジネスクラス専用入り口に到着です。その奥にはファーストクラス専用入り口がありましたが、偵察する間もなく荷物が建物の中に運ばれて行ってしまったので、ビジネスクラス専用入り口だけ撮影してスタッフに付いていきます。洗練されたインテリアとブラウン、ゴールド、ホワイトの調和。それに加えてエティハド航空のスタッフの制服のデザインってシックでかっこいいんですよね。
僕のチェックインを担当してくれたお姉さんはとても愛嬌があって可愛かったです(笑)。可愛い笑顔で両手の親指を立てながら「手続きはこれで完了よ☆」なんて言われたらちょっとテンション上がっちゃうのは仕方ないですよね…ね!(正当化)1時間の余裕を見ていましたが、それでも出国手続き等でギリギリになり、アブダビ空港第3ターミナルのエティハド航空ビジネスクラスラウンジの偵察は10分ほどしか取れませんでした。無念ですが、復路のトランジットでの空き時間をアテにすることにします。
今回もバスのりばを案内されて、バスに順に乗り込むのですが、エコノミーとビジネス/ファーストで車両が違う!(車体も専用に塗り分けてある)くっきりと線引きをしていくスタイルです。エコノミー搭乗者のバスは混雑しているようでしたが、ビジネス/ファースト用バスは空いていました。沖止めされている近距離機用の駐機スペース(A320やA321がメインでした)まで行き、エコノミー客の搭乗終了を待ってから搭乗します。
A320-200の近距離用ビジネスクラスは(あまり期待はしていませんでしたが)ANA BUSINESS CRADLEやJAL SKY RECLINERとあまり変わらない感じでした。4時間のフライトで、食事も前菜、メイン、デザートまできっちり出ます。エティハドはクッションカバーのデザインが格好いいんですよね。なんなら欲しい(笑)。快適なのは間違いありませんが、やはりそれでもフルフラットを期待してしまうのは悪い癖かもしれません。
セーシェル・マヘ島 ヴィクトリア国際空港
4時間後、セーシェル上空に到達しました。山の近くを通って小さな空港に着陸、フルブレーキを掛けて減速した後、滑走路をタキシーバックしてターミナル(まるで木造の学校?のような建物でした)に到着します。降機直後、爆音がしたので振り返ってみると、エミレーツのB777-200LRが着陸してきました。この小さな空港にあんなデカイのが!と少し驚きました。滑走路長とか大丈夫なのかな…?(大丈夫だから着陸しているんでしょうけど)ドバイからエミレーツ、アブダビからエティハド、マダガスカルからAir Madagascar、ナイロビからKenya Airlinesと、アディスアベバからエチオピアン航空と、結構あちこちからフライトがあるようですね。ただ、大型機を整備する設備はこの空港になさそうで、遠方からの機体はすぐにとんぼ返りするようです。加えて、Air SeychellesはEtihad Partnerとして参加に入っているとのこと。
本日のホテル ”Le Meridien Fisherman’s corve”へ
さて、本日の宿もspgグループホテル(セーシェル唯一のホテル)です。あまり行き方を調べていなかったのですが、取り敢えず首都ヴィクトリアを経由することだけが頭の中にあったので、バスのりばからバスに乗ることにしました。市街地まで5Rs~10Rsです。到着したタタ(インドの財閥系自動車会社)のボロいバス(何故か行き先表示だけLEDが入っているのが不思議)に乗ろうとすると、僕が大きいカバンを持っているのを見て乗車拒否。僕のあとから来たフランス人のカップルと思われる旅行者も大荷物を持っていたのですが、運転手はそれを見るなりやはり乗車拒否。「大きな荷物を持っている人間は載せない」なんて地球の歩き方には書いてありませんでした(メールで記載要望を出しておこうと思います。笑)。致し方なくタクシーを手配して向かうことにしましたが、600Rs(=約4,400円)を簡単に要求されてしまいました。高い…
「Le Meridien Fisherman’s corveに行きたいのだけど、幾ら?」
「600だよ」
「高いな!550にしてくれない?」
「無理無理。おーい、このお客さんがLe Meridienまで550で行きたいらしいぞ(笑)」
「550で乗せてってやるよ」
「お、ありがとう」
それ以外に手段がないので呑むことにしました。さっきのフランス人のカップルにタクシーを割り勘しようと提案してみます。
「タクシーをシェアしない?550Rsを皆で払えばそんなに高くないと思う」
「…いや、やめとくよ。ごめんね」
タクシーを信用してないのか、僕を信用してないのかが分かりませんが、頑なな感じで固辞されたのでした。フランスのタクシーと比べても意味ないだろうに…あの二人はあの後無事にホテルに着けたのでしょうか。タクシーはヴィクトリアの市街地を抜けて山を超えて20分程度走り、約束の値段で目的のホテルまで連れて行ってくれました。
次回予告
Le Meridien Fisherman’s corveとセーシェル観光編です。まだまだ続きます。